2020年の初めに目標とした不動産投資に関わる本100冊読んで書評します。
高橋洋子さんの『100万円からの空き家投資術』です。
初版 2016年1月25日
発行所 WAVE出版
著者 高橋洋子
本屋さんの不動産投資のコーナーでタイトルに惹かれて購入しました。
先入観ゼロで購入したため、著者がどのような方なのかは分かりませんでした。
空き家リノベーション研究会というサイトを主宰するジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーさんが書かれた本です。
現在はサイトが見つからなかったため最新の情報は不明ですが、キャッシュや投稿している記事を拝見した限りは、著者自身が空き家をたくさん買って投資しているわけではなく、最初に築古物件を買ったというだけのようでした。
というわけで、「不動産投資」に関する内容はかなり不足がありました。
著者の高橋さん自身の不動産売買の経験がないので、代わりに様々な投資家のインタビューが挟まれているのですが、やはり自分の体験ではないので物件購入部分は話が浅いように感じました。
その代わりと言ってはなんですが、インタビューに協力した投資家がたくさん登場してきて色々な意見が書かれています。
共通している内容は
「とにかく安く買え」
そして「リスク管理しろ」ということです。
そして、怖いのはこの『100万円からの空き家投資術』で実名(もしくは仮名)で登場した不動産投資家と呼ばれる人は、今検索しても何をやっているかががつかめないことです。
怖い世界なのでしょうか?もしくは成功して悠々自適とか?
空き家投資はどんな人に向いているか
初期投資が少ないので、素人でも取り組みやすいのはたしかです。
最初の投資として始めるのは勉強にもなるし、損失が出ても少額ですむのがいい点でしょう。
しかし、あくまで現金で買うことが基本ですから、大きな収益を期待することはできません(P.177)。
その通りです。最近流行の「ローンを受けて不動産を購入する方法」は、事業としてきちんと確立できる方にはお勧めですが、超初心者でカモにされそうな方にとってはリスクが大きく個人的にはお勧めできません。
中薫道さんは、購入を決める目安は「土地値以下の物件」と言います。
なぜなら、失敗しても土地値では売れるからです(P.058)。
投資の場合は、回収を目的としているので高く買ってしまうと回収できないというわけです。
そして、価格の基準が「土地値」と言うわけです。
空き家投資で大事なことは「人が住みたいと思うところかどうか」、すなわち投資して「勝てるエリア」か「負けるエリア」かをしっかり見極めることです(P.022)。
極論すると不動産投資において重要なのはほぼ立地です。
建物はあとでリフォームとか建て替えとかできるけど立地はそうはいきません。
空き家を手放す時のコツは?
3年前に50万円で購入した大阪の中心地にある8部屋の家を、月4万5000円で大家族に貸しています。
その家族には「あと10年住んだら、あげます」と提案するつもりです。
それでも十分にもとが取れます(P.039)。
買う時は立地次第、売る時はあげるつもりで、と言うことですね。
地方はなかなか実需は見込めないので、出口戦略としては借地人か投資用としてのオーナーチェンジが優先になります。
特に地方空き家戸建ての1番の出口は、借家人に売ることですが、さらにその上を行ってあげちゃうというのも手ですね。
固定資産税などの固定費を考えればあげるのもアリです。
47都道府県で交渉が難しい一位と二位は京都・大阪でしょう。
京都は100円のものを120円、130円で高く売ろうとする文化。
大阪は100円の物を70円、60円と安く買おうとする文化(P.036)。
エリアの難しさは、そのエリアを出てから初めて経験して分かるものです。
私は関東でも関西でもない地方に在住していますが、正直このエリアが難しいかどうかは分かりません。
もちろん人口が多いわけではないので経済圏としては比較的難しいとも言えるかもしれませんが逆を言うとライバルも非常に少ないとも言えます。
空き家投資で大事なことは?
1つ目は、エリア。
これから日本の人口はどんどん減っていきます。
都心がいいのですが、地方でも勝てるエリアはあります。
どこにでも、人が集まる場所があります(P.197)。
そんな普遍的なことを言われても参考にしようがありません。
空き家投資をしたい人にすすめたいことは?
気になる物件をプリントしてファイリングしておくと、あとで前に見た物件が安く売りに出ていることに気付くなど、後々役立ちます。
私は、空きが出たら入居したいという次の人の情報を載せたウェイティングリストとオーダーリストをつくっています。
例えば「茂原でクルマが2台置けて、3LDKぐらいで家賃6万5000円までの家が見つかったら借りたい」というカップルの情報を持っています。
物件を買う前に入居者が決まっていれば、投資にも不安がなくなります。
名付けて「受注式不動産投資」(P.052)。
いわゆる見込み客リストですね。
私もこの本を読んで作成し始めました。
問い合わせをいただいたお客さんに対して、希望する間取りをまとめた簡単なものです。
最終的には買えなかった物件があったのですが、その物件は、私が買う前に「条件が合えば借りたい」と言うお客さんを先に決めた物件でした。
この本の中で、最大の気づきがあった一文でした。
築年数がたった物件を賃貸にする場合は、「施設賠償責任保険」に入っておくと心強いでしょう。
これは、構造や管理上の欠陥や不備によって、入居者などに損害を与えてしまった場合に保険がおります。
(中略)
施設賠償責任保険は、年間の保険料は安いのですが、地震保険と同じく単独では加入できませんので、火災保険のオプションとして加入しておくといいでしょう(P.167)。
この『100万円からの空き家投資術』と言う本を買おうと思っている人が知りたい1番のことは「どうやってそんなに安く買えるの?」ということでしょうが、残念ながらその部分には多くのページは割かれていませんでした。
ただ、空き家を購入するときのセールストークになりそうな言葉はあちこちに散らばっていたので少しまとめてみました。
それは「特定空き家」というキーワードです。
いわゆる「空き家対策特別措置法」が2015年から施行されて、周囲に害を及ぼしそうな空き家は行政から「特定空き家」と指定されることになりました。
万が一「特定空き家」に指定されてしまうと、市町村から撤去や修繕を命じられたり、場合によっては行政に撤去されてしまいます。
また、金銭的にも罰則があったり、建物があると軽減される固定資産税の軽減措置が受けられないなどの金銭的デメリットもあります。
つまり、空き家の所有者に対して、このままだと特定空き家に指定されたら金銭的な損害が発生しちゃいますよ(だから私に売ってください)となるわけです。
ちなみに、特定空き家に指定されるかどうかは下記の基準に該当するかどうかです。
・倒壊や安全上の危険がある状態
・衛生上有害となる状態
・景観を損ねている状態
・その他、まわりの環境保全のために、放置することが不適切である状態
該当したからといって、必ず「特定空き家」に指定されるわけではないのでご注意ください。
最新の情報は、国土交通省のサイトに載っています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000142.html
逆に、この本を読んで心配になったのは旧耐震基準の建物についてです。
建築基準法によって旧耐震になった建物についてのリスクが、何度も書かれていて何かの罠かとも思いました。
要は補強工事する側からのポジショントークかなぁとも読み取れました。
空室・建物・人の三大リスクをうまく回避する(P.150)。
築古戸建ての3大リスクといえばこの「空室」「建物」「人」です。
私も築古不動産を所有していますが、現在も人のリスクをヘッジできなくて困っています。
今後の展望は?
人口がどんどん減っていくので、これからは2戸売ったら2戸分のお金で少しでも都心に近いところにある1戸を買うとか、少しづつ立地のグレードを上げていこうと考えています(P.102)。
この文章も、私の不動産経営戦略に大きな影響を与えました。
いつまでも地方で暮らしていくのではなく、少しだけでもいいから立地のグレードを上げていかないと将来苦労しそうです。
「ひとりで塗れるもん」(オンザウォール)という珪藻土です。
DIYに適した室内用塗り壁材で、壁紙の上からそのまま塗ることができます。
珪藻土がペースト状に練り込まれた状態でペール缶に入っているので、缶を開ければすぐに塗り始められ、半日で6帖間の壁面を塗ることができます(P.133)。
登場する不動産投資家と呼ばれる方の何人かは、ブログの更新をやめて現在何をしているか分からない、厳しい世界です。
もちろん今も継続して成功している方もいらっしゃるので、是非ともその方を参考にしようと思います。
・28ページで紹介されている「100円不動産」と言うサイトはもうありませんでした。
・34ページの村上祐章さんは「廃墟不動産」という内容で継続していてスクールを経営、元衆議院との対談もしている。
・43ページの舛添菜穂子さんは2015年に「戸建て5物件で月収30万円」、2021年はブログは引き続きほぼ毎日更新中
「物件は18戸」で、大家を育てるスクールを開いて、オンラインサロン、ラジオまで広げている。すごいお人や。
・上條直子さんはブログやご活躍などは見つけれらず。ただ2015年に出産予定とあったので育児中でセーブしているのかも。
・69ページの優待大家さんは、ブログ更新は止まっていて代わりにツイッターは稼働中。最近雑誌SPAなども買いているらしい、このかたもすごい。
・77ページの任売市場は更新中止。
・108ページの香取柄美さんは不明。
・134ページの山本誠さんの団地生活デザインは2021年も更新中。
・154ページの須山弘孝さんはキックボクサー大家さんとしての動画を発見しました。
・172ページの加藤茂助さんのブログは2019年で更新ストップ。
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